肝胆膵第83巻第4号
胆道癌の胆汁EVs（細胞外小胞，エクソソーム）解析とバイオマーカーとしての意義
電子書籍のみ
- 芳賀 弘明，他（山形大学）
- 発行日：2021年10月28日
- 〈要旨〉
胆管癌は予後不良な難治性癌であり，画像診断や組織学的診断が困難な症例も少なからず存在する．細胞外小胞（extracellular vesicle：EV）はあらゆる細胞から放出されており，その内部には細胞由来の蛋白質や核酸が安定した状態で含まれるため，癌の新規バイオマーカーとして注目されている．胆汁由来のEVは胆管癌のバイオマーカーとなり得る可能性が高いが，胆汁うっ滞期間，炎症の程度により，夾雑物である非特異的蛋白質を多く含むため性状が大きく異なり，高純度なEV分離法の開発が必要である．今回われわれはキレート剤を用いてヒト胆汁からの高純度なEV分離を可能にし，さらにヒト胆汁EV中Claudin-3が胆管癌バイオマーカーとして有用である可能性を明らかにしたため紹介する．
詳細
Bile EVs (extracellular vesicles, exosomes) analysis of biliary tract cancer and its significance as a biomarker
芳賀 弘明＊1 池田 千咲＊1 犬塚 達俊＊2 上野 義之＊1
＊1山形大学医学部内科学第二講座
＊2合同会社H.U. グループ中央研究所