臨床精神医学第49巻第12号
Senile breakdown ─老年期隠遁症候群(いわゆる「ごみ屋敷症候群」)とその対応─
電子書籍のみ

- 井藤 佳恵(東京都健康長寿医療センター)
- 発行日:2020年12月28日
- 〈抄録〉
老年精神医学の領域におけるいわゆる「ごみ屋敷症候群」の最初の記述は,1966年のMacMillanとShawにさかのぼる。MacMillanらは,住環境と身体の衛生状態のいずれか一方あるいは両方が維持できずに地域社会のなかで事例化した72人を対象とした調査研究を行い,対象者のほとんどが70歳以上の高齢者であったことから,この状況をsenilebreakdownと記述した。老年期にみられるこの種の症候の多くに共通する課題は,セルフネグレクトとその結果生じる身体と住環境の衛生問題,そして,周囲に対する拒絶とその結果もたらされる社会的孤立である。そして,社会的要因ばかりが注目されるが,彼らは身体的健康のハイリスク群であることを忘れてはならない。本人との対話から支援ニーズを引きだすにはある程度の時間経過が必要であり,ADLをふくめた身体的健康にも注意を向けて,身体治療の緊急性が高くなる前に関係性を構築することが求められる。
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Supporting people with senile breakdown
井藤 佳恵
東京都健康長寿医療センター認知症支援推進センター