臨床精神医学第49巻第7号
周産期ボンディング障害と新生児虐待
電子書籍のみ
- 山田 蕗子・他(北村メンタルヘルス研究所)
- 発行日:2020年07月28日
- 〈抄録〉
199年代の半ばころより,産後すぐからわが子に対して特別な感情が湧かず,世話をすることに苛立ちを感じ,拒否あるいは攻撃したくなるような衝動を抱くといった現象が,精神医学の問題として着目されるようになった。こうした現象は,新生児に対するボンディング障害と呼ばれ,母子関係に与える影響の大きさから,周産期精神医学の重要課題となっている。近年では,産後の新生児虐待は,抑うつ状態よりもむしろボンディング障害から予測されると指摘されている。このようなボンディング障害は,妊娠期間中から存在することが明らかとなっており,妊娠への反応や,胎児に対する妊娠の思いは妊娠期のボンディングをアセスメントする上で重要である。支援者は,妊娠期間中に女性とそのパートナーが妊娠をどのように受け止めているか,胎児に対してどのような感情を抱いているか聞き,関わっていくとが重要だといえる。
詳細
Perinatal bonding disorders and neonatal abuse
山田 蕗子*1,2 大橋 優紀子*1,3 竹形 みずき*1 北村 俊則*1,4,5
*1 北村メンタルヘルス研究所
*2 聖路加国際大学大学院看護学研究科博士後期課程
*3 城西国際大学看護学部
*4 こころの診療科きたむら醫院
*5 北村メンタルヘルス学術振興財団