臨床精神医学第49巻第7号
授乳期の精神科薬物療法
電子書籍のみ
- 菊地 紗耶・他(東北大学)
- 発行日:2020年07月28日
- 〈抄録〉
向精神薬の乳児への影響に関する情報は限られており,服薬中の母親が子どもに母乳を与えることを躊躇したり,臨床医が母乳を希望する母親に薬剤を処方するかどうか判断に迷うことがある。しかし,向精神薬の多くは授乳期に使用しても,児への大きな影響が見込まれず,授乳と両立が可能であるというのが国内外のコンセンサスとなっている。向精神薬服用中の授乳については,単に薬物動態や乳汁移行,乳児への影響だけでなく,母親の母乳育児の希望の有無,母親の精神疾患,各精神疾患における薬物療法の位置づけ,薬物療法以外の治療可能性などを考慮し,服薬と母乳育児のリスク・ベネフィットを検討する必要がある。授乳を希望する母親が十分な情報を得て,安心して授乳ができるような支援体制が望まれる。
詳細
Psychiatric pharmacotherapy during lactation period
菊地 紗耶*1 小林奈津子*1,2 小原 拓*3 本多 奈美*4 富田 博秋*4
*1 東北大学病院精神科
*2 東北大学大学院医学系研究科精神看護学分野
*3 東北大学病院薬剤部
*4 東北大学大学院医学系研究科精神神経学分野