臨床精神医学第48巻第3号

  • 特集/精神医学と芸術の多様な接点
  • 発行日:2019年03月28日
  • 〈企画趣旨〉
     精神医学は医学の一分野であり、精神科疾患の病因・病態や治療法の解明を志す科学である。その一方、生身の人々をあつかう実践として、しばしば倫理的な判断が求められる。哲学の伝統にならって心的活動が関わる領域を「真・善・美」に分けるならば、科学としての精神医学は「真・善・美」の「真」に、精神医学における倫理的諸問題は「善」に、それぞれ対応するといえよう。これらの領域は医療職の養成カリキュラムが示唆するように、今日おおいに注目されている。それらに比べると精神医学と「美」との関連は、すくなくとも医学の枠組みのなかではあまり注目されていない。しかし「美」と関連する領域が精神医学に無いわけではない。「芸術」を「美」の第一近似として考えるなら、まず病跡学や芸術療法が思い浮かぶだろう。そして狭義の医学を越えたところには、さらに多様な局面での接点と、それぞれの論点ならびに実践がある。それらは昨今の精神医学のありかた・語られかたを振り返るうえで意義ある参照項になるだろう。本特集では「精神医学と芸術の多様な接点」を考える事始めとして、精神医学と芸術の代表的な境界領域において活躍する研究者・実践家に、それぞれの立場の見解や活動を紹介していただく。

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〈目次〉
精神医学史がアートになるとき (愛知県立大学)橋本 明
アートを含みこむ精神医療とは (仁愛大学)三脇 康生
現代の「アール・ブリュット」と日本の作品 (甲南大学)服部 正
アール・ブリュットの芸術哲学 (京都大学)吉岡 洋
「狂乱の場」:オペラにおける精神疾患の表現 (ロンドン大学)松本 直美
精神医学・精神疾患を描く文学・マンガ (京都大学)三嶋 亮・他
外からみた病跡学 (京都大学)植野 仙経・他
アート表現に認められる自閉スペクトラム特性─創造性の源泉として─ (はなぞのクリニック)華園 力
マテイス・フェルミューレン─音楽的狂信者のサルトグラフィー─ (自治医科大学)小林 聡幸
精神医学的にみた漱石文学─神経衰弱者の擁護と救済─ (筑波大学)高橋 正雄
神経美学は病跡学に取って代わるか? (帝塚山学院大学)深尾 憲二朗
精神科臨床における芸術療法─臨床アートセラピーの立場から─ (日本クリエイティブ・アーツセラピー・センター)関 則雄・他
米国のアートセラピーにおけるアセスメントの特徴─投影描画法との比較から─ (奈良教育大学)市来 百合子・他
芸術療法:その近接領域としての保育─乳幼児期の発達を保障する芸術活動─ (子どもと保育研究所 ぷろほ)山田 眞理子
シリーズ / なんの症状? Q & A(第2回) (埼玉医科大学)太田 敏男