臨床精神医学第48巻第3号

マテイス・フェルミューレン─音楽的狂信者のサルトグラフィー─

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  • 小林 聡幸(自治医科大学)
  • 発行日:2019年03月28日
  • 〈抄録〉
    オランダの作曲家フェルミューレン(1888〜1967)の生涯を精神医学的に検討した。彼は既成の音楽教育を受けなかったが,音楽批評と作曲で才能を示した。が,攻撃的な批評により,当時のオランダ音楽界の重鎮を敵に回し,作曲家としては自作が演奏されないという憂き目に遭った。パリに居を移すも自作はほとんど演奏されなかった。第二次世界大戦後,オランダに戻り,作曲と批評に従事し,生涯で交響曲7曲,室内楽曲5曲と大規模な歌曲数曲を残した。彼の音楽は古典的な音楽にみられる形式論理を欠くが,全体的に拍は明確で,その「躍動」は強い高揚を伴って聴くものに迫ってくる点でパラノイア的であり,しかも後期ロマン派からトータル・セリエリズムへと向かう両大戦前後の時代の主導的な創作法からも異種(パラ)の精神(ノイア)の音楽といえる。彼は音楽世界でパラノイアを発展させ,日常世界では健康を保った。

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Matthijs Vermeulen: The salutography of a musical fanatic
小林 聡幸
自治医科大学精神医学教室