臨床精神医学第48巻第3号
「狂乱の場」:オペラにおける精神疾患の表現
電子書籍のみ
- 松本 直美(ロンドン大学)
- 発行日:2019年03月28日
- 〈抄録〉
オペラにおいて「狂気」が表現された例としてドニゼッティの《ランメルムーアのルチア》など19世紀半ばに制作された作品が著名である。しかし,実際は「狂気」はオペラがその創世期から擁していた定型主題であった。本稿は17世紀から19世紀までの,特にイタリアのオペラにおいて狂気の表現がどのように発展してきたか,そしてそれが精神疾患に対する当時の社会的文化的見解にどのように結びついているかを歴史的に追うものである。その中で,「オペラにおける狂乱」の定義づけの問題点に迫り,ルチアの例をはじめとした「オペラで狂乱する登場人物=女性」という単純化された図式について注意を喚起する。
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The Mad Scene: Portrayals of Insanity in Opera
松本 直美
ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ音楽学部