肝胆膵第79巻第2号

レンバチニブ導入早期の肝性脳症の機序と対策

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  • 工藤 正俊(近畿大学)
  • 発行日:2019年08月28日
  • 〈要旨〉
    レンバチニブ導入後1〜2週間以内に,肝性脳症の合併症を経験することがある.欧米ではこの事象をもってレンバチニブの毒性が高いと喧伝されたこともあった.しかしながら,レンバチニブ導入直後にChild-Pugh Aの肝硬変の患者が肝性脳症を発症するケースは肝実質障害性とは当然考えにくく,門脈大循環短絡をベースとしてレンバチニブによって誘発されるシャント型脳症がほとんどである.したがって肝性脳症の治療薬として一般に用いられる薬剤である二糖類,BCAA製剤やリファキシミンなどの難吸収性抗菌剤,カルニチン,亜鉛などを投与することにより,肝性脳症は容易に管理可能であり,かつレンバチニブも減量ないしfull doseで投与できることが明らかとなってきた.しかしながら稀にこのような内科的治療に抵抗する症例も存在するが,このような症例にはBRTOや門脈大循環短絡閉鎖術などを行うことにより,劇的に肝性脳症や血中アンモニア濃度は減少し,レンバチニブもfull doseで維持できることが明らかになってきている.また,基本的にVEGFRを強力に阻害する薬剤は肝類洞内皮機能障害を引き起こし,血管拡張因子を低下,血管収縮因子については上昇させる.これらの機序により,さらなる肝類洞内皮の血管抵抗が上昇し,大循環短絡への腸間膜静脈の血流量が増加することにより脳症を発症すると考えられた.

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Mechanism and management of early onset hepatic encephalopathy induced by lenvatinib
工藤 正俊
近畿大学医学部消化器内科