臨床精神医学第46巻第1号

研究報告 抗精神病薬多剤大量投与中に発生した心肺停止事故の一裁判例

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  • 村松 太郎・他(慶應義塾大学)
  • 発行日:2017年01月28日
  • 〈抄録〉
    筆者らの一人が鑑定人として関与した,統合失調症急性期治療としての抗精神病薬の多剤大量投与中に発生した心肺停止事故についての裁判例を報告した。主たる争点は,心肺停止の原因,抗精神病薬の投与量・投与方法,投薬後の経過観察,因果関係であった。裁判所は,については抗精神病薬に起因すると認定したが,は医師の裁量の範囲内であるとした。また,は適切なモニターを行わなかった被告病院に注意義務違反があるとしたが,仮にモニターを行っていても本件事故を防止できたとはいえないとしてを否定した。本判決の有する医学法学的な意味,特に抗精神病薬の多剤大量投与をめぐる問題について考察した。

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Cardiopulmonary arrest during the course of antipsychotic polypharmacy treatment : A civil case
村松 太郎1) 三澤 史斉2,3) 米森 京子4) 村山 昌暢5) 中根 潤6) 大場 宏幸1)
1)慶應義塾大学医学部精神神経科
2)Zucker Hillside Hospital
3)山梨県立北病院
4)川崎市立川崎病院精神科
5)赤城高原ホスピタル
6)下総精神医療センター