臨床精神医学第46巻第1号
救命救急センターにおける精神科リエゾン:新しい自殺予防介入プログラム
電子書籍のみ
- 石井 貴男・他(札幌医科大学)
- 発行日:2017年01月28日
- 〈抄録〉
自殺未遂は自殺の最大の危険因子であり,未遂者の自殺再企図防止は自殺予防対策の主要課題であるが,その効果的な方法は長く確立されることはなかった。最近になって,「自殺企図の再発防止に対する複合的ケース・マネージメントの効果:多施設共同による無作為化比較試験(ACTION-J)」の成果が,わが国から発信された。これにより,救急医療部門と精神科が連携し,自殺未遂者に対して一定のケース・マネージメント介入を行うことで,自殺再企図を抑止できることが,世界で初めてエビデンスをもって検証された。2016年度からは,この介入モデルに則った病院内の体制整備と介入実践に対して,新規診療報酬項目が設定され,エビデンスに基づく自殺未遂者ケアが医療制度化されている。本稿では,救命救急センターと精神科の連携およびACTION-J介入モデルの臨床現場での実践例として,筆者らが所属する施設での取り組みについても紹介する。
詳細
Consultation-liaison psychiatry in the emergency department: a newly developed intervention program for suicide prevention
石井 貴男 白石 将毅 木川 昌康 井上 佳祐 河西 千秋
札幌医科大学医学部神経精神医学講座