臨床精神医学第45巻第11号

研究報告 初回エピソードうつ病患者の復職および再休職に影響する要因

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  • 中川 正俊・他(田園調布学園大学)
  • 発行日:2016年11月28日
  • 〈抄録〉
    A市役所職員で2008年4月より2012年5月までの間に,初回エピソードの大うつ病性障害(DSM-Ⅳ-TR)により1か月以上休職した30人を対象に,休職期間および復職後再休職に至るまでの期間と,症状の重症度,病像や性格特徴,社会的支援要因などとの関連性を検討した。早朝覚醒がない人および他罰傾向のある人は,そうでない人と比べて休職期間が有意に長かったが,休職時のSDS得点と休職期間との関連性は認めなかった。また選択的制止や依存性・自己中心性などの性格傾向を有する人は,そうでない人と比べて復職時のうつ病自己評価尺度(SDS)得点が有意に高かった。復職後再休職に至るまでの期間では,未婚者,単身生活者,他罰傾向のある人がそうでない人より有意に短かったが,復職時SDS得点および復職時日本語版自記式社会適応度評価尺度(SASS-J)得点との関連性は認めなかった。うつ病患者における病像や性格特徴は,症状の重症度より休職期間や復職後再休職に至るまでの期間に影響するとの結論を得た。

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Factors affecting return to work and return to leave in patients with first-episode depression
中川 正俊1) 井原 一成2)
1)田園調布学園大学人間福祉学部社会福祉学科
2)東邦大学医学部社会医学講座公衆衛生学分野