臨床精神医学第45巻第11号

私を変えた症例─寝込んで出社できなくなる若手男性エリート社員─

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  • 広瀬 徹也(晴和病院)
  • 発行日:2016年11月28日
  • 〈抄録〉
    今から約40年前,順調に学生時代を過ごして一流会社に入社したエリートサラリーマンが些細な契機で寝込みを主体とする抑うつに陥り,出社恐怖などから長期の休業に至る例に遭遇し,その一見理解しがたい病像・経過は筆者を気分障害の臨床精神病理学の世界に招き入れた。疾病学的位置づけを検討の末,「逃避型抑うつ」として1977 年に発表した。彼らは上記の症状の他,プライドを守るのに汲々とし,評価に過敏な点などから,非定型うつ病と診断することも可能であるが,過保護な養育環境,厳しさを欠く学生生活と対照的に厳しい企業社会などが発症に関与する点で,我が国の産業精神医学界に特異的な病態であると思われる。

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Two impressive cases which introduced me to my life ・work -young elite workmen who suffered from absenteeism due to hysteroid dysphoria-
広瀬 徹也
公益財団法人神経研究所附属晴和病院