臨床精神医学第45巻第11号

“ひとつの基準(セット)への固執”について─左前頭前野梗塞例の11年間の症状─

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  • 鹿島 晴雄(国際医療福祉大学)
  • 発行日:2016年11月28日
  • 〈抄録〉
    左前頭前野領域梗塞例の11年にわたる経過と症状を紹介した。発症11年目,なお軽度の強迫様傾向と,“頭の切り替えがうまくできない”,“几帳面すぎる日課をたて,臨機応変ということがない”,“自分の行動に関し何も決められないのは困る”などの訴えが認められた。これらの訴えは“ひとつの基準(セット)への固執” として解釈しうることを述べ,その関連要因としてセットの転換障害(高次の保続)と情報の組織化の障害を指摘した。筆者は,こころと脳は因果関係ではなく,“重ね描き” であり,治療においてのみ両者の連携が重要であると考えるが,本例は,筆者がそのような考えに至るきっかけとなり,またその考えを深めることにおいて重要な示唆を得た症例である。

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On a frontal symptom “adhesion to a single standard or set” 11 years follow up study of a patient with the left prefrontal infarction
鹿島 晴雄
国際医療福祉大学大学院臨床心理学専攻