臨床精神医学第45巻第11号

老子哲学を応用することにより改善したうつ病の1症例

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  • 野村 総一郎(日本うつ病センター)
  • 発行日:2016年11月28日
  • 〈抄録〉
    特別な教育を受けていなくても,日本固有の土着文化の中に染みついた教えを治療者と患者が共有して,それを治療に生かすことが必要である。そのような見地から,日本文化の根源に染みついている老子哲学を示唆することにより,抑うつ状態からの改善がみられた29歳男性の症例を報告した。老子哲学の強調する「謙虚であれ」,「努力しすぎは疲れる」,「低い地位も悪くない」を示唆することにより,日本人の心に定着している「考え方」が呼び覚まされ,それが過剰な自己愛からの脱却をもたらしたものである。諸外国でも最近,老子哲学が精神療法に取り入れられる傾向がみえており,日本でも応用を検討する価値があるかもしれない。

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A case of depression recovered by Taoism therapy
野村 総一郎
日本うつ病センター