臨床精神医学第45巻第4号

認知症のバイオマーカー─髄液および血液─

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  • 田上 真次・他(大阪大学)
  • 発行日:2016年04月28日
  • 〈抄録〉
    認知症は脳にさまざまな物質が蓄積する神経変性疾患であるから,脳脊髄液(cerebrospinal fluid;CSF)中に存在するそれらの物質が最適のバイオマーカー候補であると考えられる。実際,認知症の中で最も頻度の高いアルツハイマー病(Alzheimer's disease;AD)においては,老人斑の主たる構成物質であるアミロイドβ42(Aβ42)は患者のCSF中で低下し,神経細胞内の神経原線維変化の主たる構成物質であるリン酸化タウ蛋白は上昇している。Aβ42の低下とリン酸化タウ蛋白の上昇はADの診断基準において,診断を支持する所見としてすでに確立している。ところが末梢血中のAβ42やリン酸化タウ蛋白に関してはCSFの場合とは異なり,現在のところバイオマーカーとして確立していない。よってADの血液バイオマーカーとしては,Aβ42やリン酸化タウ蛋白・総タウ蛋白以外の物質を標的とせざるを得ない。またAD以外の認知症である前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degenerarion;FTLD)に関しては,疾患特異的なCSF中バイオマーカーや血液バイオマーカーが現時点ではない。レビー小体病(dementia with Lewy bodies;DLB)に関しては,AD病理の合併がより多いものはAβ42低下,リン酸化タウ蛋白・総タウ蛋白上昇が,Parkinson's diseaseに特有の病理の合併がより多いものはCSF中の総α-Synulcleinの低下がバイオマーカー候補の1つとなっている。本稿では現在開発中のAD血液バイオマーカー,およびFTLD,DLBのバイオマーカーについて概説したい。

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CSF and blood-based biomarkers of dementia
田上 真次 大河内 正康
大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室