臨床精神医学第54巻第3号

PTSDと幻覚

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  • 金 吉晴(国立精神・神経医療研究センター)
  • 発行日:2025年03月28日
  • 〈抄録〉
    PTSDと,統合失調症を代表とする精神症とは鑑別すべき独立した疾患とみなされており,PTSDの再体験症状は現実の被害についての記憶の再燃であって,幻覚ではない。ただしDSM-5においでは再体験症状としてのフラッシュバックが解離性であるとされ,また解離症において幻覚様体験の存在が認められていることは,PTSDと幻覚との併存についての議論を刺激すると思われる。他方,トラウマ的体験からは,古典的には急性錯乱などの急性精神症ないし,ストレス因の明らかな短期反応精神症が生じることは知られている。しかしトラウマ体験からPTSDと精神症が併発するかどうか,PTSDが精神症的な色彩を帯びることがあるのかは,報告されていない。解離症概念がPTSDの側に拡大してPTSDの中に解離性の症状の存在が認められ,他方で精神症の側にも拡大して幻覚様症状の存在が認められていることを考えると,PTSDと幻覚についての今後の議論は解離症概念を媒介として考察が進むものと思われる。

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PTSD and hallucination
金 吉晴
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所