臨床精神医学第54巻第3号

覚醒剤と幻覚,症状と治療

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  • 西村 晃萌・他(国立精神・神経医療研究センター)
  • 発行日:2025年03月28日
  • 〈抄録〉
    本稿では覚醒剤使用に伴う幻覚症状を呈する「覚醒剤精神病」について概説した。日本ではメタンフェタミン(MAP)による覚醒剤精神病が報告され,MAP使用方法や使用者層の変化によって発症割合は減っているもののその患者数は横ばいに推移しており,治療継続の困難さから難治化する例も多い。MAPによる幻覚・妄想は使用期間の長期化に伴い神経変性とドパミン神経伝達の過剰な促進を起こす「逆耐性」によって生じる。臨床的特徴として幻聴や被害妄想に加え,統合失調症と比較して幻視や体感幻覚が多く,陰性症状は軽度である。遷延・持続型では統合失調症と同程度の認知機能障害を認める。治療は断薬が基本であり,精神病症状が持続する場合は低用量の抗精神病薬が有効とされる。個々の患者の状況に応じた包括的支援が重要だが,現行の司法制度下では継続的な治療提供は困難な場合が多く,適切な治療を提供できる体制作りが求められる。

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Methamphetamine and hallucinations: symptoms and treatment
西村 晃萌*1,2 沖田 恭冶*1,2 松本 俊彦*2
*1国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター病院精神診療部
*2国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部