臨床精神医学第54巻第3号
統合失調症における幻覚とrTMS療法研究
電子書籍のみ

- 木村 大・他(木村病院)
- 発行日:2025年03月28日
- 〈抄録〉
幻覚は,発生時に外部刺激が欠如しているにもかかわらず体験することと意思によってコントロールできず鮮明で現実的なものとして認識されることが定義に含まれている。また,幻覚は精神疾患によって発生するとは限らず,幻覚が精神疾患によって発症しているかどうかを評価することは臨床医の役割となる。統合失調症と診断された患者が経験する幻覚の中では幻聴が最も多く,幻聴が生活の質や社会活動に与える影響は⼤きい。幻聴に対する非薬物療法として,非侵襲的に脳皮質を刺激するニューロモデュレーションであるrepetitive transcranial magnetic stimulation(rTMS)があげられる。しかしrTMS療法は方法論が確立しているとはいえず,試験デザイン(cross over かparallel)や刺激プロトコル(刺激部位,刺激頻度,セッション回数),コイルの種類,偽刺激の方法,評価尺度など複数の因子が試験結果に影響を与える。よってメタ解析では選択/除外基準によって検出される効果量や報告間の異質性は大きく異なる。現在のところメタ解析の結果は幻聴に対する1 Hz刺激による左側頭頭頂葉皮質へのrTMS療法は治療選択肢の一つとなる可能性を示唆するにとどまる。異質性や出版バイアスの課題もあり,主要な治療ガイドラインでは推奨は得られていない。
詳細
rTMS for auditory hallucination in schizophrenia
木村 大*1,2,3 金原 信久*4
*1医療法人学而会木村病院
*2国際医療福祉大学精神科
*3千葉大学大学院医学研究院精神医学
*4千葉大学社会精神保健教育研究センター