臨床精神医学第53巻第11号
医薬品開発ステージの概要と課題
電子書籍のみ

- 野々村 英典(武田薬品工業株式会社)
- 発行日:2024年11月28日
- 〈抄録〉
医薬品開発は,創薬から臨床試験,市販後調査に至るまで,多岐にわたる専門知識と多様なステークホルダーの連携が必要なプロセスである。このプロセスには多大な時間とコストがかかるため,新薬が市場に投入されるまでには通常10年以上の歳月を要する。本稿では,まず,医薬品開発の各フェーズ,すなわち基礎-応用研究,前臨床試験,臨床試験,規制当局への申請までの一連のステージについて,また開発戦略立案について概説する。次に,数ある疾患領域の中でも特に,臨床試験の成功確率が低いといわれるニューロサイエンス領域の臨床開発の課題について述べたい。ニューロサイエンス領域の臨床試験は成功率が低く,投資に対するリターンが少ないため,メガファーマの撤退もみられる。主な課題として,疾患の表現型の多様さ,主観的評価を要すること,そして高いプラセボ反応があげられる。さらに,創薬環境を取り巻く変化と課題についても触れたい。低分子医薬品が主流だった時代は製薬企業が自前で創薬を進めていたが,現在では多様なステークホルダーを巻き込み,創薬エコシステムが発達している地域もある。具体的には,ヘルスケアベンチャーの起業,資金調達,製品開発,IPOやM&Aを通じてエコシステムが活性化し,企業の成長や人材流入が促進される。日本における創薬エコシステムの成熟には,課題が散見されるが,対策に乗り出している。今後,エコシステムの成長にはプレーヤー間の連携が期待される。
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Overview of drug development stages and challenges
野々村 英典
武田薬品工業株式会社日本開発センター