臨床精神医学第51巻第7号
TOKYO2020におけるメンタルヘルスサービス
電子書籍のみ
- 西多 昌規(早稲田大学)
- 発行日:2022年07月28日
- 〈抄録〉
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックという異例の状況下において,東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が,2021年夏に開催された。選手村には,居住する選手や役員などを対象とする総合診療所(ポリクリニック)が開設され,精神科外来も「メンタルヘルスサービス」という名称で,週3回の診療を行った。オリンピックでは8名,パラリンピックでは2名,計10名が実際に診療所を訪れて利用した。しかし対面での利用者以外に,スタッフからの精神刺激薬の管理についての相談や,COVID-19陽性によるホテル療養に起因するストレス反応の案件もあり,電話やオンラインによる遠隔診療が機能した。今後開催されるオリンピック・パラリンピックにおけるポリクリニックも,マンパワーや時間など資源は限られるだろうが,アスリートへの対応経験のある医師や心理スタッフの配置と充実の重要性を強調しておきたい。
詳細
Mental health services at the Tokyo 2020 Olympic and Paralympic Games
西多 昌規*1,2
*1早稲田大学スポーツ科学学術院
*2公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会