臨床精神医学第50巻第1号
児童・思春期の神経性やせ症患者および家族への家族療法─モーズレイ・アプローチについて─
電子書籍のみ
- 森野 百合子(東京都立小児総合医療センター)
- 発行日:2021年01月28日
- 〈抄録〉
思春期や学童の神経性やせ症(Anorexia Nervosa:AN,以下AN)は慢性化すると生涯に渡る健康への影響が大きいと考えられ,早期発見と治療が必要である。AN治療の一環として本邦では以前から家族に対するグループ心理教育が行われているが,児童・思春期のAN患者では,近年モーズレイ・アプローチと呼ばれるANに特化した家族療法が有効とのエビデンスが数多く出され,モーズレイ・アプローチをもとにしたFamily Based Therapy(以下FBT)も広く知られるようになった。本稿ではAN患者とその家族に対する心理教育のこれまでを整理した後,モーズレイ・アプローチの3つの基本概念である「家族を問題の原因でなく治療のリソースとして捉える」「治療初期~中期までは,食事と栄養の問題に焦点を当てる」「摂食障害と患者を区別する外在化」について,またその治療が実際にどう進められるかについて述べたい。
詳細
Family therapy for adolescents and children with anorexia nervosa and for their families : Maudsley model of family therapy for anorexia nervosa
森野 百合子
東京都立小児総合医療センター児童・思春期精神科