臨床精神医学第49巻第9号
COVID-19 による神経筋症状
電子書籍のみ
- 下畑 享良(岐阜大学)
- 発行日:2020年09月28日
- 〈抄録〉
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は呼吸器症状を主徴とするものの,神経筋症状を高頻度で合併する。味覚障害,嗅覚障害が特徴的であるが,頭痛,めまい,筋障害といった非特異的症状を呈し,また重症例では意識障害の合併が多い。著しい低酸素血症や代謝変化がないにもかかわらず,意識障害が出現した場合には神経学的評価が必要である。また神経筋合併症としては,脳血管障害,種々の脳炎・脳症,免疫性ニューロパチー,急性筋炎が報告されている。これらの病態や治療についてのエビデンスは限られており,今後の症例の集積が必要である。さらにこれらの神経筋合併症は,初発症状となり得ることから,救急診療から通常の外来診療に至るまで,鑑別診断としてCOVID-19を念頭におく必要がある。適切な問診と検査所見,胸部CT所見の確認を行い,必要であればPCR検査を着実に施行し,医療者は院内感染と自身の感染を防止する必要がある。
詳細
Neuromuscular manifestations of COVID-19
下畑 享良
岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野