臨床精神医学第48巻第6号
統合失調症急性期の家族への支援・心理教育
電子書籍のみ
- 常岡 俊昭・他(昭和大学)
- 発行日:2019年06月28日
- 〈抄録〉
家族心理教育が統合失調症の予後を改善させることは多くの研究で指摘されているが,実際に行えている病院は多くはない。統合失調症の家族心理教育の効果としては家族のストレスを軽減させ,家族の問題解決能力の上げ,家族の行動や信念を望ましい方向に変化させるなど多岐にわたるが急性期で最も重要なことは患者-家族-主治医の三者で同盟関係を構築できることであろう。また慢性期では希望となりうる退院後作業所に通えている者も,急性期においては「退院してもリハビリを続けなくてはいけない」と家族が悲観することもあり注意が必要である。また家族も比較的若く力がある一方で,就労しているものも多く平日昼間の集まりには参加できないものも多い。診療報酬の問題や医師の教育体制などを整備し,すべての病院ですべての家族が心理教育を受けることができ,その後も相談場所として繋がり続けられるような体制整備が喫緊の課題である。
詳細
Support and psychoeducation for families with acute schizophrenia
常岡 俊昭*1,2 山本 和弘*2 中村 純子*3
*1 昭和大学医学部精神医学講座
*2 昭和大学附属烏山病院
*3 駒木野病院薬剤科