肝胆膵第80巻第5号
肝移植における門脈圧亢進症の経過と対策
電子書籍のみ
- 原田 昇,他(九州大学)
- 発行日:2020年05月28日
- 〈要旨〉
門脈圧亢進症を呈する非代償性肝硬変の根本治療として肝移植が考案され,現在本邦では生体肝移植を中心に年間約400例施行されている.2018年までの統計によれば,8,909症例の生体肝移植が施行され,適応疾患としてC型肝炎は1,730症例(19.4%)であった.肝移植によって門脈圧は低下し,門脈圧亢進症は改善するが,C型肝炎に対する肝移植では100%再発するため,その後のグラフト肝の線維化,肝硬変は問題であった.しかし直接作用型抗ウイルス薬(DAA)が登場し,術後C型肝炎ウイルス再発はほぼ制御可能となっている.肝移植後早期にSVRが達成されることによって,グラフト肝の線維化の原因は取り除かれ,C型肝炎・肝硬変患者の長期生存が可能な時代となったといえる.
詳細
Treatment of liver transplants with portal hypertension
原田 昇 吉住 朋晴 二宮 瑞樹 伊藤 心二 武石 一樹 戸島 剛男 森 正樹
九州大学大学院消化器・総合外科