肝胆膵第80巻第5号
SVR後の門脈大循環シャント・静脈瘤の長期経過
電子書籍のみ
- 長沖 祐子，他（マツダ病院）
- 発行日：2020年05月28日
- 〈要旨〉
C型慢性肝炎・代償性肝硬変の多くは抗ウイルス療法により，SVRが得られるようになった．SVR獲得により，多くの場合，肝予備能は徐々に改善し，肝線維化の改善や肝発癌率にも影響を及ぼす．またSVR獲得により，門脈圧は低下し門脈圧亢進症の進展予防も期待できる．しかし抗ウイルス療法開始時，すでに門脈圧が亢進し，食道胃静脈瘤の形成や側副血行路の発達を有する場合は，たとえSVRが得られても，その改善は得られ難く，むしろ食道胃静脈瘤の増悪や新たなシャント脳症を発症する例も存在する．特に肝硬変例においては，抗ウイルス治療前に門脈圧亢進症に対する評価を十分に行い，SVR獲得後も注意深いサーベイランスを行うことが重要と思われる．
詳細
Long- term outcome of esophagogastric varices and portosystemic encephalopathy in patients who achieved SVR by antiviral therapy
長沖 祐子＊1 今村 道雄＊2 相方 浩＊2 茶山 一彰＊2
＊1マツダ株式会社マツダ病院消化器内科
＊2広島大学大学院医系科学研究科消化器･代謝内科学