肝胆膵第78巻第6号
B型肝炎の自然経過-マルコフモデル-
電子書籍のみ
- 多田 俊史,他(大垣市民病院)
- 発行日:2019年06月28日
- 〈要旨〉
本研究では核酸アナログが投与されていないHBVキャリア408例を対象とし,40歳未満でセロコンバージョンしたGroup A,40歳以上でセロコンバージョンしたGroup B,セロコンバージョンなしのGroup Cの3 群にわけ,マルコフモデルを用いて,肝病態(慢性HBV感染,慢性肝炎,肝硬変,肝細胞癌およびHBs抗原陰性化)の1年推移率を算出した.結果,Group Aでは病態推移率は大きな悪化は認められなかった.Group Bでは特に男性において肝病態の進行が認められた.さらにGroup Cでは男女とも肝病態の進行が認められた.また40歳における慢性肝炎を起点とした検討ではGroup Aに比較してGroup BおよびCでは年齢がすすむにつれて,肝硬変や肝細胞癌の割合が高く認められ,その傾向は男性の方が顕著であった.
詳細
Long-term natural history of liver disease in patients with chronic hepatitis B virus infection: an analysis using the Markov chain model
多田 俊史*1 豊田 秀徳*1 安田 諭*1 三宅 望*1 熊田 卓*2 田中 純子*3 秋田 智之*3 大久 真幸*3
*1大垣市民病院消化器内科
*2岐阜協立大学看護学部
*3広島大学大学院医系科学研究科疫学・疾病制御学