肝胆膵第77巻第4号
サルコペニアからみた肝移植の予後
電子書籍のみ
- 海道 利実(京都大学)
- 発行日:2018年10月28日
- 〈要旨〉
肝移植患者の多くは非代償性肝硬変を有しており,浮腫や腹水による活動性の低下,低栄養,肝不全,高度侵襲と二次性サルコペニアのカテゴリーに当てはまる.したがって,術前サルコペニア評価と周術期栄養リハビリ介入が大切である.実際,術前骨格筋量低下や筋肉の質低下,内臓脂肪肥満は,肝移植後独立予後不良因子であった.そこで,サルコペニアを考慮した新たな肝移植適応基準を樹立し,運用したところ,肝移植後1年生存率98%と短期成績が著明に改善した.サルコペニアは肝移植の予後に密接に関連し,客観的な生体肝移植適応の樹立に寄与した.さらに今後,サルコペニアが脳死肝移植の優先順位決定に用いられるようになるかもしれない.
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Impact of sarcopenia on prognosis after liver transplantation
海道 利実
京都大学大学院医学研究科肝胆膵・移植外科