肝胆膵第77巻第4号
サルコペニアと肝細胞癌治療選択
電子書籍のみ
- 佐伯 一成,他(山口大学)
- 発行日:2018年10月28日
- 〈要旨〉
サルコペニアは肝細胞癌において予後不良因子ならびに再発増悪因子とする報告が多いが,肝癌治療選択に注目した報告はない.自験例のソラフェニブを投与した進行肝癌症例を対象に,体組成として骨格筋量と内臓脂肪面積を因子に入れて予後解析を行ったところ,「骨格筋萎縮がなく内臓脂肪が蓄積した症例」が有意に予後良好であった.一方,肝動注化学療法でも同様に検討したが,体組成は予後に寄与していなかった.この結果は,サルコペニア評価により肝癌治療選択の効率化が図れる可能性を示唆している.本稿ではサルコペニアが肝癌治療に及ぼす影響について概説し,サルコペニアからみた肝癌治療選択について考察した.
詳細
Treatment selection for the hepatocellular carcinoma from the point of view of sarcopenia
佐伯 一成*1 山﨑 隆弘*2 坂井田 功*1
*1山口大学大学院医学系研究科消化器内科学
*2同 臨床検査・腫瘍学