臨床精神医学第47巻第1号

MRIにおける偶発的所見の倫理

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  • 中澤 栄輔・他(東京大学)
  • 発行日:2018年01月28日
  • 〈抄録〉
    脳画像研究に関する偶発的所見は研究倫理上の問題を提起する。その問題は研究者−研究参加者の関係性の問題に帰着する。問題が先鋭化するのは,医師ではない研究者の偶発的所見への対処法,それに関連する偽陽性と偽陰性,研究参加者の「知らされたくない権利」などが論点となる場面である。脳画像研究における偶発的所見に対する具体的な対処法については,文部科学省の事業である脳科学研究戦略指針プログラムにおいて2012年度から比較的大規模な統一的対処法が導入された。すべての画像を医師がチェックするという方針である。この偶発的所見統一的対処方針の適用に伴って実施されたフォローアップ調査では,一定の率で偶発的所見が発見されていた。同時に,この偶発的所見統一的対処方針は,なおもさらに具体化する必要があり,今後の研究が待たれることが確認された。

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Ethics of incidental findings in MRI researches
中澤 栄輔* 高島 響子**
*東京大学大学院医学系研究科医療倫理学分野
**東京大学医科学研究所公共政策研究分野