臨床精神医学第47巻第1号
精神科臨床における倫理的諸問題
電子書籍のみ
- 山口 大樹・他（東邦大学）
- 発行日：2018年01月28日
- 〈抄録〉
今日の医療倫理は，（1）自律尊重原則，（2）善行原則，（3）無危害原則，（4）正義原則という四原則から成り立っているとされる。患者の自律した意思決定を尊重するためには，その判断能力が保たれていることが前提となっている。しかしながら，精神科臨床では，ときに精神症状により判断能力が欠如していると推定される患者も存在し，そのような患者に対して非自発的入院や行動制限が選択されることがあるため，われわれ精神科医にはより倫理的な配慮が求められている。臨床場面で起こりうるすべての倫理的な問題に絶対的な正解を見いだすことは不可能であるが，個々の精神科医の経験や直感力のみに頼るのではなく，一つ一つの事例を通じて地道な検討を重ね理論的に考察し，自身の倫理的思考を鍛錬していく必要があり，精神科医として患者に「最善の利益」となりえる医療を提供できるよう努めたい。
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Ethical problems in clinical psychiatry
山口 大樹 水野 雅文
東邦大学医学部精神神経医学講座