臨床精神医学第47巻第1号

うつ病・自殺に関わる倫理的諸問題

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  • 張 賢徳・他(帝京大学溝口病院)
  • 発行日:2018年01月28日
  • 〈抄録〉
    うつ病は単一疾患ではなく,広くヘテロな症候群であるが,それを一つの疾患にまとめあげようとして行動主義的視点と操作的診断法を採るDSM-5もICD-10もさまざま問題を内包している。しかし,批判があるのは承知のうえで,世界の共通言語であるDSMかICDを用いて診療も研究も開始するしかないので,本稿でのうつ病はDSM-5の規定によるものとする。うつ病に関わる倫理的問題として,医学化(medicalization)の妥当性の問題(「過剰診断vs過少診断」の問題),うつ病治療のガイドラインが示す重症度別の治療方針の妥当性の問題,患者の自己決定権の問題を取り上げる。自殺予防に関しては,リスク評価の新しい考え方と,多職種連携に関して読者の考察に資する題材を提供したい。治療者,研究者いずれの立場であれ,判断に迷ったときには,決して独善主義に陥らず,患者の利益を最優先に考える姿勢が不可欠である。

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Ethical issues related to depression treatment/research and suicide prevention
張 賢徳 水野 康弘 玄 東和
帝京大学医学部附属溝口病院精神科