臨床精神医学第47巻第2号

グローバル化する世界における物語と自己

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  • 井上 隆志・他(東京武蔵野病院)
  • 発行日:2018年02月28日
  • 〈抄録〉
    本稿では,グローバル化する世界において人々がアイデンティティを形成し,生きていくうえでの物語と対話の役割について論考する。「自己についての物語」が共同体で十分に耳を傾けられ,対話の中で意味が共有されて初めて,われわれはその物語を生きることが可能となる。それは,ナラティブ(物語)を通して自己と他者の間に意味を創造する営みであり,唯一の声がすべてを覆い隠すのではなく,自己の内に,そして自己と他者との間にいくつもの語りが受け入れられる「多声性(ポリフォニー)」が価値を持つ。近年,グリーフ(悲嘆,喪失)の過程においても,当事者の主体的な「意味の再構成」が重視されている。東日本大震災後のグリーフケアにおいて,特定の物語を生きる宗教者たちがケアへと向かい,その中で宗教間対話の重要性が改めて着目されたように,グローバル化の時代に異質な者同士が響かせる複数の声から新たな物語が生まれ,意味や価値が再構成されていく可能性にわれわれは意識的であるべきだろう。

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Narrative and the self in a globalizing world
井上 隆志1,3) 熊倉 陽介2,3) 安藤 俊太郎3) 近藤 伸介3)  笠井 清登3)
1)一般財団法人精神医学研究所附属東京武蔵野病院
2)東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野
3)東京大学医学部附属病院精神神経科