臨床精神医学第47巻第2号

  • 特集/グローバリゼーションと臨床精神医学
  • 発行日:2018年02月28日
  • 〈企画趣旨〉
     近年の著しい国際化の波を受けて,我が国の精神科臨床の場においても,グローバリゼーションに伴う医学的諸問題が散見されるようになってきた。ジェットラグによる睡眠障害,多国籍企業におけるジョブストレス,国際結婚による異文化不適応,複数の母国を持つことによるアイデンティティークライシス等々,多文化間精神医学という枠組みを溢流して,日常診療の中で顕在化すると共に,潜在的問題として,深く根を降ろしつつある。
     グローバリゼーションに伴う精神医学的諸課題の背景には,単に医学的な問題のみならず,他文化や異質なものに対する無理解や不寛容など,21世紀の我々が超克すべき,本質的な問題が含蓄されている。さらにその裾野には,生育環境の多様化と学校教育問題,思春期における主体価値の形成や共感性の涵養,人生を通じて育まれていく他者受容,グローバリゼーションとAI化に伴う職場環境の激変とその対応策,老年期に至るまで保持されるべき精神的柔軟性や学ぶ力など,今後,解明が待たれる多くの精神医学的課題が重畳している。本特集では,グローバリゼーションと精神科臨床を取り巻く関連領域を広範に提示し,多文化共生時代に臨床精神医学が担うべき役割とその可能性について,読者と共に考えたい。

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〈目次〉
共感性から読み解くグローバリゼーションと臨床精神医学 (京都大学)阪上 優・他
グローバル化する世界における物語と自己 (東京武蔵野病院)井上 隆志・他
グローバリゼーションと社会的ひきこもり─ひきこもりは現代社会結合症候群か?─ (九州大学)加藤 隆弘
グローバリゼーションにおける依存症の治療実践─日米英の3 か国を中心とした治療の現状と発展─ (高嶺病院)田中 増郎・他
グローバリゼーションと自殺予防対策 (東京慈恵会医科大学)山内 貴史・他
ワーク・ライフ・シフトと産業精神保健 (京都大学)野田 実希・他
グローバリゼーションの負債─貧困・高齢の都市生活者に見える風景─ (大阪府立大学)西川 隆
グローバリゼーションと触法精神障害者 (京都大学)梁瀬 まや
グローバリゼーションと臨床睡眠医学 (大阪大学)足立 浩祥
21世紀の多文化間精神医学 (明治学院大学)阿部 裕・他
多文化共生時代のアンチスティグマと精神科臨床 (帝京大学溝口病院)張 賢徳
研究報告
緩徐不活性型電位依存性Sodium Channel Blocker ラコサミド(LCM)95例の使用経験 藤本 礼尚・他