臨床精神医学第53巻第10号
精神科病院におけるECT─精神科医と麻酔科医,両者の視点から─
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- 栗本 直樹(滋賀里病院)
- 発行日:2024年10月28日
- 〈抄録〉
筆者は精神科主治医そして麻酔担当医としてECTを行っている。その中で精神科医と麻酔科医にはECTに関して異なる視点と認識の相違があることに気がついた。ECTは安全であり,万一不測の事態が生じた際には麻酔科医が対応すると精神科医には認識されていることがある。しかし麻酔科医でも対応困難な身体合併症が発生することはある。そのため主治医が十分な術前評価と全身管理をしておくことが必要であり,麻酔科医はそれを必須と考えている。ECTの有効性はその麻酔内容に大きく影響される。有効な発作誘発のために,けいれん閾値を上げる麻酔薬の減量を精神科医が望む場合がある。しかし,盲目的に麻酔薬を減量すると麻酔科医の最も忌避する術中覚醒をきたす可能性が生じる。両者の視点をふまえた対策が必要である。ECTの安全性,有効性を担保するには精神科医と麻酔科医の連携が重要であり,互いの認識の相違を埋め,両者の視点を知ることがその第一歩と考える。
詳細
What is needed for ECT in psychiatric hospitals –based on the perspectives of both psychiatrists and anesthesiologists–
栗本 直樹
医療法人藤樹会滋賀里病院精神科・麻酔科