臨床精神医学第53巻第7号

電気けいれん療法の臨床研究から何を学べるか?

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  • 髙宮 彰紘(ルーヴェン・カトリック大学)
  • 発行日:2024年07月28日
  • 〈抄録〉
    本稿では「電気けいれん療法( electroconvulsive therapy:ECT)の有効性はケタミンと同等か?」,「ECTの臨床研究は現実の臨床を反映しているのか?」という2つの問いに対する筆者なりの回答を通じて,ECTの臨床研究から学べることについてまとめた。2024年4月時点で,ケタミン点滴投与とECTの治療効果を比較した非劣性試験が2つ報告されている。スウェーデンで行われたKetECT試験はECTの方がケタミンよりも有効だったと結論づけ,米国で行われたELEKT-D試験はケタミンの有効性はECTに劣らないと結論づけている。この違いを生んだ要因として,筆者は主に患者特性とECTの施行方法という2つの観点から考察した。ECTの臨床研究と現実との乖離という側面については,本人が重症な精神症状のために同意ができない患者への非同意ECTについて論じた。このような症例に遭遇することは決して珍しいことではないと思うが,その施行においてはECTが特に有効である患者像の理解とともに,倫理的な指針の理解が必要である。ECTは各種パラメータを含めた施行方法,患者像によってその臨床効果が大きく変わる。そのため,より解像度の高い議論をするためには,「ECT」は「薬物療法」と同レベルの包括的な言葉であるという認識のもと,ECTの適切な運用・施行方法という基本に立ち返ることが重要である。

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What have we learned from ECT-related clinical trials?
髙宮 彰紘*1,2
*1 KU Leuven, Leuven Brain Institute, Department of Neurosciences, Neuropsychiatry
*2慶應義塾大学医学部ヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座