臨床精神医学第50巻第5号
持効性注射剤の穿刺時痛に対する局所麻酔薬の使用が与える影響
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- 常岡 俊昭・他(昭和大学附属烏山病院)
- 発行日:2021年05月28日
- 〈抄録〉
持効性注射剤は統合失調症の治療の選択肢の一つであり,さまざまなメリットがあるが,特有のデメリットとして穿刺時痛があげられる。対象者は当院に通院中または入院中の統合失調症圏で継続して持効性注射剤を施行中の患者である。本研究はクロスオーバー試験・単一盲検であり,対象者は通常の持効性注射剤施行前処置として何もしない(無処置群),白色ワセリンを塗布(プラセボ群),リドカイン・プロピトカイン配合クリームを塗布(局所麻酔群)の3群へ無作為な順番で割当て,施行後にVAS,フェイススケールを測定した。VASの点数は無処置群で4.86,プラセボ群で3.85,局所麻酔群で1.90と局所麻酔群ではプラセボ群・無処置群と比較して有意に痛みのスケールが低かった。フェイススケールでは局所麻酔群と無処置群の間でのみ有意差を認めた。外用局所麻酔薬の使用が持効性注射剤の穿刺時痛を抑える可能性が示唆された。
詳細
Effect of using of local anesthesia for injection pain due to long-acting injectable antipsychotics
常岡 俊昭*1,2 杉沢 諭*3 中村 純子*4 眞野 三奈子*1 山田 真理*1,2 青栁 啓介*1,2
*1昭和大学附属烏山病院
*2昭和大学医学部精神医学講座
*3昭和大学薬学部病院薬剤学講座
*4駒木野病院薬剤科