臨床精神医学第50巻第5号
ADHDと過眠症
電子書籍のみ
- 朝山 健太郎・他(平沢スリープ・メンタルクリニック)
- 発行日:2021年05月28日
- 〈抄録〉
注意欠如・多動性障害(attention-deficit/hyperactivity disorder : ADHD)では過去より覚醒作用のある精神刺激薬が治療薬として使用され,睡眠障害の合併も多いと報告されていた。この10年間では過眠を訴えるADHD患者が多いことに関心が寄せられADHDと過眠症の関係についての研究が進んでいる。併発する睡眠障害や行動特性による睡眠習慣の問題が眠気の原因と考えられる傾向にあったが,中枢性の注意/覚醒維持機能に共通の問題があるのではないかと考えられるようになってきている。睡眠障害診療を行う自施設での後方視的な調査では,過眠(反復睡眠潜時検査にて平均入眠潜時8 分以下)を呈する受診者の21%がADHDの合併診断が可能であった。特に過眠症診断閾値前後の眠気が問題となる場合には,睡眠障害のみならず神経発達症の診断的視点を持っての評価が必要となる。また睡眠障害治療とADHD治療における規制薬剤の使用方法も考慮しての対応も必要となる。
詳細
ADHD (attention-deficit/hyperactivity disorder) and hypersomnia
朝山 健太郎*1,2 平澤 秀人*1,4 井川 真理子*3,4 大久保 善朗*2
*1平沢スリープ・メンタルクリニック
*2日本医科大学精神神経科
*3ロイヤルこころの里病院
*4東京医科歯科大学精神神経科