臨床精神医学第50巻第3号
膠原病患者に認められる精神症状の診立てと対応
電子書籍のみ
- 中神 由香子・他(京都大学)
- 発行日:2021年03月28日
- 〈抄録〉
膠原病は,自己免疫応答を背景として結合組織を構成するタンパク質に障害・炎症が生じる疾患の総称である。寛解と再燃を繰り返す経過や,炎症に伴い生じる疼痛を背景に,患者はしばしば高い精神的ストレスにさらされる。そのため,ストレスに関連した症状が生じやすい。さらに,全身性エリテマトーデス(SLE)に代表されるように,膠原病そのものが精神症状を引き起こすこともある。加えて,治療に用いられるステロイド剤の影響や中枢神経系の感染症により精神症状が出現する可能性もある。対応としては,原疾患を含む身体疾患が原因の場合はその治療を,また,薬剤の副作用が原因の場合は薬剤の減量・中止をまず考慮すべきである。しかし,精神症状が著しい場合や行動異常が顕著な場合は,向精神薬での対症療法が必要となる。このように膠原病患者に生じた精神症状に対しては,多角的視点を忘れずに,内科医と連携しながら慎重に対処する必要がある。
詳細
Management of psychiatric symptoms in patients with collagen diseases
中神 由香子*1 降籏 隆二*1 村上 孝作*2
*1京都大学環境安全保健機構健康科学センター
*2京都大学大学院医学研究科臨床免疫学