肝胆膵第82巻第4号
NASHにおけるマクロファージの役割
電子書籍のみ
- 三浦 光一,他(自治医科大学)
- 発行日:2021年04月28日
- 〈要旨〉
肝臓には組織マクロファージであるKupffer細胞が存在し,自然免疫機能を果たしている.またKupffer細胞は異物などの貪食を行っているが,炎症が起きないように免疫寛容を保持している.しかし,NASHでは腸管からの多量の異物,脂肪組織からのサイトカインにより,その自然免疫反応や免疫寛容に変化が生じる.Kupffer細胞を含む肝内の種々の細胞からケモカインが放出され,炎症を誘導する骨髄由来マクロファージがリクルートされる.またNASHの進行に伴い,さらに形質の異なるマクロファージが登場し,線維化や発癌をサポートする.このように多彩なマクロファージがNASH劇場に集合し,脂肪蓄積,炎症,線維化そして発癌まで,主役や準主役としてその役を演じている.
詳細
The role of macrophages in nonalcoholic steatohepatitis
三浦 光一 荒井 道 山本 博徳
自治医科大学内科学講座消化器内科分野