肝胆膵第85巻第3号

免疫療法後の二次治療としてのソラフェニブ・レゴラフェニブの意義

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  • 小笠原 定久,他(千葉大学)
  • 発行日:2022年09月28日
  • 〈要旨〉
    ソラフェニブは進行肝細胞癌に対する初の薬物治療であり,実臨床においてすでに10年以上の使用経験がある.著明な腫瘍縮小をきたさず,進行を制御することで予後の延長に寄与する薬剤であることから,治療効果を実感しづらい点が最大の弱点である.一方で,多くの有望な分子標的治療薬がソラフェニブを対照薬とした第Ⅲ相試験を行ったが,1剤としてソラフェニブに対して全生存期間の延長を示すことができなかったことから,ソラフェニブがもつ期待値以上の薬効については十分に留意する必要がある.レゴラフェニブはソラフェニブ後の初の二次治療として確立された薬剤であるが,ソラフェニブに十分な忍容性がある症例においてのみにエビデンスがあることから現時点で治療対象となる症例が少ないことが課題である.複合免疫療法が進行肝細胞癌の一次治療である現在,どのようにソラフェニブおよびレゴラフェニブを実臨床で用いるかはいまだ明確ではない.本稿においてはソラフェニブおよびレゴラフェニブの特徴を振り返り,複合免疫療法時代の両剤の新たなポジションニングについて考察したい.

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Importance of sorafenib and regorafenib as second-line therapy after immunotherapy
小笠原 定久 叶川 直哉 加藤 直也
千葉大学大学院医学研究院消化器内科学