肝胆膵第85巻第3号
PhaseⅡ TACTICS-L試験の結果とその解釈
電子書籍のみ
- 佐伯 一成,他(山口大学)
- 発行日:2022年09月28日
- 〈要旨〉
肝細胞癌に対する薬物療法の選択肢が増え,2021年度版の肝癌診療ガイドラインでは薬物療法の適応が中等度進行肝癌まで広がった.それに伴い,日常診療でTACE不応・不適の症例に対して薬物療法を併用したTACEが行われることとなった.さらに,2022年ASCO-GIでは本邦で施行されたレンバチニブ併用TACE(LEN-TACE)の第Ⅱ相TACTICS-L試験の解析結果が報告された.特筆すべきは完全奏効(CR)率がTACE後4週で53.2%と高率なことである.また奏効期間の解析では,12か月時点でも50.5%の症例で奏効が得られており,無増悪生存期間解析では中央値28.3か月と良好な結果を示した.有害事象や肝予備能の悪化も容認できるものであった.すなわちLEN-TACEは,中等度進行肝癌においてCRを目指すポテンシャルを秘めた治療法といえる.
詳細
Impact of LEN-TACE therapy in patients with hepatocellular carcinoma based on the results of TACTICS-L trial
佐伯 一成*1 上嶋 一臣*2 山﨑 隆弘*3 高見 太郎*1 工藤 正俊*2
*1山口大学大学院医学系研究科消化器内科学
*2近畿大学医学部消化器内科
*3山口大学大学院医学系研究科臨床検査・腫瘍学