肝胆膵第85巻第3号

Wnt/β-catenin 変異を有するHCCの二面性(Inflamed and non-inflamed)

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  • 青木 智子,他(近畿大学)
  • 発行日:2022年09月28日
  • 〈要旨〉
    Wnt/β-catenin変異を有する肝細胞癌は,従来AFP値が低く,脈管浸潤・遠隔転移が少ない予後良好な高~ 中分化型の肝細胞癌と考えられていた(Jekyll phenotype).OATP1B3の発現を介してEOB-MRIの肝細胞相で等~高信号の結節として認識できること,immune coldな免疫微小環境を形成することが知られている.一方で,数は少ないものの浸潤・転移が多く悪性度の高いWnt/β-catenin肝細胞癌も存在し(hyde phenotype),免疫チェックポイント阻害剤の奏効がよいことも報告されるようになった.この二面性を規定しているのは,Wnt/β-catenin経路の標的遺伝子HNF4α(EMTを抑制する癌抑制遺伝子)とFOXM1(幹細胞への脱分化やEMTを促進する遺伝子)であると考えられ,両遺伝子の発現量の微妙なバランスにより2つの相反するphenotypeが存在すると考えられる.

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詳細

The duality of Wnt/β-catenin signaling in human hepatocellular carcinoma
青木 智子 西田 直生志 工藤 正俊
近畿大学医学部消化器内科