肝胆膵第80巻第4号

肝細胞腺腫の分類と分子生物学的成り立ち

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  • 常山　幸一，他（徳島大学）
  • 発行日：2020年04月28日
  • 〈要旨〉
    肝細胞腺腫（hepatocellular adenoma：HCA）は非硬変肝に生じる稀な良性腫瘍である．近年，遺伝子異常に基づく亜型の分類が免疫染色を用いた表現型と関連していることが明らかとなり，同じHCAでも亜型によって悪性転化のリスクが異なることから正確な亜型分類の必要性も増してきている．2019年のWHO分類ではHCAはHNF1A-inactivated HCA（H-HCA），inflammatory HCA（IHCA），β-catenin-activatedHCA（b-HCA），β-catenin-activated IHCA（b-IHCA）の4 型とunclassified HCA（u-HCA）に分類されており，sonic hedgehog HCA（shHCA）やASS1-positive HCAなど，その他の亜型も報告されている．また，b-HCAを悪性転化リスクの観点からexon 3 のmutationを示すもの（b-HCA exon 3）と，exon 7/8 のmutationを示すもの（b-HCA exon7/8）に分ける考え方も示されており，glutamine synthetaseの免疫染色パターンがこれらを見分けるためのサロゲートマーカーとして有用である．

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詳細

Molecular biology and classification of hepatocellular adenoma
常山　幸一＊1,2　松本　穣＊2　米田　亜樹子＊3　尾矢　剛志＊2
＊1徳島大学大学院医歯薬学研究部疾患病理学分野
＊2同　分子病理学分野
＊3徳島県立中央病院病理診断科