肝胆膵第80巻第4号
混合型肝癌の成り立ち
電子書籍のみ
- 西川 祐司（旭川医科大学）
- 発行日：2020年04月28日
- 〈要旨〉
混合型肝癌の成り立ちについては，特に肝幹細胞との関連性を中心に活発な議論が行われてきた．しかし，肝における幹細胞の存在が疑問視されるとともに，肝細胞表現型の可塑性についての理解が進み，その発生メカニズムについて再検討すべき時期がきている．また，網羅的ゲノム解析の結果，混合型肝癌は胆管細胞癌よりは肝細胞癌に近いことも明らかになっている．本稿では，われわれの実験病理学的な知見をもとに，肝細胞癌，混合型肝癌，脱分化型肝癌を肝細胞性腫瘍の一連のスペクトラムととらえ，肝細胞の形質転換に伴う脱分化と分化転換の観点から混合型肝癌の成り立ちを考察する．
詳細
Generation of combined hepatocellular-cholangiocarcinoma: possible involvement of dedifferentiation and transdifferentiation of hepatocytes
西川 祐司
旭川医科大学病理学講座腫瘍病理分野