肝胆膵第78巻第5号
膵癌におけるEUS-FNA播種の頻度・特徴
電子書籍のみ
- 潟沼 朗生,他(手稲渓仁会病院消化器病センター)
- 発行日:2019年05月28日
- 〈要旨〉
EUS-FNAは膵疾患をはじめ,さまざまな組織学的診断を可能とする検査法である.EUS-FNAは高い正診率と低い偶発症率を誇っている.しかしながらEUS-FNAによる後期合併症,特にneedle tract seedingについての報告が散見されるようになってきた.Needle tract seedingはすべて膵体尾部の病変に対して胃から穿刺した症例に生じている.その形態は粘膜下腫瘍様の隆起を呈している.これまでの大規模な研究では,EUS-FNAの施行は患者の生命予後に影響を与えていないことが報告されている.しかしながら,いずれも後ろ向きの研究であり,そこに含まれている体尾部病変や術前症例,さらにはstageの小さい症例の登録されている頻度が少ないことを考慮する必要がある.今後,正確なseedingの頻度を明らかにし,EUS-FNAの適応を含めて検討を進めることが重要であると考える.
詳細
Needle tract seeding after endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration
潟沼 朗生 金 俊文 林 毅 矢根 圭 高橋 邦幸
手稲渓仁会病院消化器病センター