肝胆膵第78巻第5号
膵癌・胆道癌におけるprecision medicine の現況
電子書籍のみ
- 古川 徹(東北大学)
- 発行日:2019年05月28日
- 〈要旨〉
Precision medicineとは個人の遺伝子,環境,ライフスタイルに基づいた医療を行うことで効果的な疾患の治療,予防ができるとする考えで,日本語では精密医療と表現される.がんゲノム医療はprecision medicineの考えを踏襲し,個々のがんのゲノムを解析することで特異的な治療を選択できるようにする医療を指す.遺伝子変異情報が特定の薬物の感受性にどれだけ有用かは個々の変異および発生したがん腫により異なる.BRCA群遺伝子に変異をもつがん腫はがん腫横断的に白金系抗腫瘍剤,PARP阻害剤に高い感受性を示す.膵胆道癌においては変異情報と推奨される薬物において
特異的なものは現時点ではないものの,孤発性膵癌や膵腺房細胞癌においてはBRCA群遺伝子変異が検出されることがあり,特異的治療を行える可能性がある.
詳細
Precision medicine in pancreatobiliary malignancy
古川 徹
東北大学大学院医学系研究科病態病理学分野