臨床精神医学第48巻第1号

セフェピム脳症(抗菌薬関連脳症)─興奮抑制バランスの破綻による臨床像と脳波異常─

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  • 田宗 秀隆・他(東京都立多摩総合医療センター)
  • 発行日:2019年01月28日
  • 〈抄録〉
    抗菌薬関連脳症は,Type Ⅰ(けいれん発作・ミオクローヌス主体;ベータラクタム薬)・Type Ⅱ(精神病症状主体;フルオロキノロン,マクロライド,ST合剤)・Type Ⅲ(小脳症状主体;メトロニダゾール)に分類され,経過に個々の特徴がある。われわれは,ベータラクタム薬の一つであるセフェピムがGABAA受容体阻害作用を持つことからセフェピム脳症に興味を持った。セフェピム脳症は,ICUで投与された患者の15%が罹患しているという報告があるが,多くは見逃されている。メタアナリシスによると全例で意識変容と脳波異常を認めた。われわれは3例の観察から,その特徴的な脳波をTri-HNC(トライハイネック;Triphasic Wave-like Generalized Periodic Discharges with a High Negative Component)と命名しシミュレーションにより再現した。病態基盤には興奮抑制バランスの破綻が示唆された。発症過程で「心因性と勘違いされやすい意識障害」,「疼痛」,「反復言語」,「診察拒否/拒薬」などの共通した臨床像を新たに認め,精神科医が想起する重要性を認識した。基礎神経科学が急速に進んでいる現在,改めて精神病理学と薬理学に立ち戻った臨床的観察が求められる。

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Cefepime-induced encephalopathy (Antibiotic-associated encephalopathy): Clinical manifestations and EEG abnormality due to excitatory/inhibitory imbalance
田宗 秀隆*1,2,3 山本 直樹*1
*1東京都立多摩総合医療センター精神神経科 
*2東京大学大学院医学系研究科神経細胞生物学分野 
*3同 精神医学分野