臨床精神医学第47巻第9号

児童虐待の中枢神経系への影響

電子書籍のみ

  • 友田 明美(福井大学子どものこころの発達研究センター)
  • 発行日:2018年09月28日
  • 〈抄録〉
    近年,児童虐待と「傷つく脳」との関連が脳画像研究からわかってきた。たとえば,暴言虐待による「聴覚野の肥大」,性的虐待や両親のDV目撃による「視覚野の萎縮」,厳格な体罰による「前頭前野の萎縮」などである。虐待を受けて育ち,養育者との間に愛着がうまく形成できなかった愛着障害の子どもは,報酬の感受性に関わる脳の「線条体」の働きが弱いことも突き止められた。こうした脳の傷は「後遺症」となり,将来にわたって子どもに影響を与える。トラウマ体験からくるPTSD,記憶が欠落したりする解離など,その影響は計り知れない。しかし,子どもの脳は発達途上であり,可塑性という柔らかさを持っている。そのためには,専門家によるトラウマ治療や愛着の再形成を,慎重に時間をかけて行っていく必要がある。一連のエビデンスについての理解が深まることで,大人が責任をもって子どもと接することができる社会を築き,少しでも子どもたちの未来に光を当てることにつながればと願っている。

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Preliminary evidence for brain abnormalities in children and adolescents due to child maltreatment
友田 明美
福井大学子どものこころの発達研究センター