臨床精神医学第46巻第8号

身体表現性障害(身体症状症)におけるこだわり

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  • 松永 寿人(兵庫医科大学)
  • 発行日:2017年08月28日
  • 〈抄録〉
    DSM-Ⅳ-TRまでの身体表現性障害は,DSM-5より身体症状症および関連症群として改編された。この中で医学的に説明不能という身体症状の特性や内容を問わなくなり,従来の身体化障害や疼痛性障害,心気症は,身体症状症(SSD)あるいは病気不安症(IAD)とされた。両者では,病気に関する高度の心配やこだわり,正常な身体感覚にさえも恐怖を覚えとらわれる点などは共通している。しかしSSD患者が苦痛や支障を伴う身体症状を過大解釈し,異常な思考,感情,行動などの反応を示すこととは対照的に,IAD患者では,実際には存在しない病気について,あたかも存在しているかのように認識し,健康不安にとらわれる。これは実在しない身体的欠陥にこだわる身体醜形障害と同様で,いずれでも確認や保証の要求といった安心希求的な繰り返し行動が認められる。しかし身体疾患患者におけるSSDの過剰診断,あるいは誤診リスクなどが問題視されており,この信頼性や妥当性をさらに検討すべきであろう。

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Preoccupation in patients with somatoform (somatic symptom) disorders
松永 寿人
兵庫医科大学精神科神経科