肝胆膵第76巻第3号
腹腔鏡下手術の意義とは
電子書籍のみ
- 大塚 隆生,他(九州大学)
- 発行日:2018年03月28日
- 〈要旨〉
膵癌診療ガイドライン2016年版では,膵癌に対する腹腔鏡下膵切除術の意義に関するステートメントが膵頭十二指腸切除術と膵体尾部切除術の二つに分けて提示されている.膵癌に対する腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術は現行の保険診療では認められておらず,臨床試験での実施を推奨している.また,腹腔鏡下膵体尾部切除術は2016年4月に膵癌にも保険診療として実施可能となったが,意義や安全性については症例集積による検証が必要であることが述べられており,特に3学会合同運営の術前登録制度への前向き登録を強く求めている.本ステートメントでは腹腔鏡下膵手術の施設基準の遵守にも言及するなど,倫理面へも配慮されている.今後は膵癌に特化した質の高い臨床試験で,膵癌に対する腹腔鏡下膵切除術の意義を明らかにしていく必要がある.
詳細
Significance of laparoscopic surgery for pancreatic cancer
大塚 隆生 森 泰寿 宮坂 義浩 仲田 興平 中村 雅史
九州大学大学院医学研究院臨床・腫瘍外科